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エージングでヘッドホンやスピーカーを高音質に仕上げる方法
2024/09/24
ヘッドホンやスピーカーのエージングについて。
Burn-in Noisesを作り始めて5年ほど経過していますが、普通の音楽でもエージングしていて、数万時間は鳴らしているのでエージングについても概ねのことが分かるようになってきました。
世間一般に言われていることで、概ね正しいと思われることと間違っていると思うことがあるのでここに書くことにします。
ここは私が作った
Burn-in Noises
を公開しているコーナーですが、日記の方に書くとごちゃごちゃするので、まとめてここに書いておきます。
音楽以外のノイズを使う方法もありますが、私がBurn-in Noises作っている関係上、それ使えって話にしかならないし、人工的なノイズを鳴らしてエージングすることに抵抗を感じる人もいると思います。なのでここでは主に音楽を鳴らしてエージングする方法について書いています。再現性はあるので、確度は高いと思います。概ね修正することはないと思いますが、何かしらの修正があった場合もここに修正します。
長いので結果だけ知りたい人は下の
「以上エージングについてまとめると」
を見てください。
■エージングは効果があるか?
まずエージングは効果があるかに関しては間違いなくあります。これは、ヘッドホンのヒエラルキーを簡単にひっくり返すほどの劇的な差があります。オーディオにおいて、最も低コストで最も効果的に音質を上げる方法と言って良いでしょう。
■エージング時間はどの程度必要か?
どの程度の時間が必要かに関しては、私と世間とでは意見が違います。
結論から言うと、まともに音が評価できる音質になるには2000時間以上、最高音質を目指すなら4000時間以上必要という結論です。
ただし初期エージングと言われるものは、概ね5〜10日ほど。120〜240時間程度となります。これは24時間スパンで見ると概ね音の変化が分からなくなる時間なので、世間では「昨日と比べて音質も変わらなくなったから、ここでエージング終了」と考えられているようです。
しかし24時間スパンで音の違いが分からなくても、240時間の倍の480時間、その倍の960時間、さらにその倍の1920時間というスパンで鳴らしていくと、着実に音質は上がっていきます。240時間のエージング時間は鳴らしてないに等しい音質レベルです。
4000時間というと、24時間鳴らしっぱなしで半年、1日12時間使って1年、6時間使って2年、3時間使って4年かかる計算です。メーカーはこの時間を想定して作っているわけないし、「1日24時間連続で鳴らして半年かかるのは頭おかしい」と受け入れられない人はかなり多いはずですが、事実として音変わっちゃうのでね。。。製作者の願望でもなく、消費者の願望でもなく、純然たる事実なのです。それを捻じ曲げることはできません。私も好きで4000時間言ってるわけじゃありません。
■どのような音源が良いか?
次は音源の問題。音源は通常の音楽を使う場合、できるだけ大量の音源をシャッフルで再生するのが良いです。大量の音源を再生することで、音源の癖を平均化することができます。
スピーカーやヘッドホンで音楽を再生すると、振動板に曲固有の癖が入ります。音楽は複雑な波形なので、「どのような波形だからこういう歪が振動板に入る」と説明するのは難しいのですが、簡略化してAという楽曲を入ると振動板にAdという歪が、B曲ならBd、C曲ならCdという歪が入ることにすると、
例えばA曲をリピート再生すると、歪Adが振動板に印加され続け、B曲をリピート再生すると、歪Bdが振動板に印加され続けることになります。楽曲ごとに癖は違うので、流す曲によって音質が違ってきます。音質が良い楽曲、悪い楽曲もあります。
流す音楽によって音質が変わるというと世間では、「ロックばかり鳴らすとロックが得意な音質に、クラシックばかり鳴らすとクラシックが得意な音質に仕上がっていく」みたいなこと言われたりしますが、そういったことはありません。同じアーティストですら楽曲が違えば仕上がり音質や傾向も変わりますし、ジャンルによる特定の傾向というのは見られませんでした。
ここで楽曲によって音質が違うなら、音質が良い楽曲を探して流したほうが良いのでは?と思われるかもしれませんが、「大量の音源のシャッフル再生」には絶対勝てないのでそこに拘る意味はありません。
そもそも普通の音楽はsound improverのように振動板に印加される歪を極力小さくするという考えで作られていませんし、音質が良い楽曲であっても、歪が大きくて癖が付いてしまうし、出せる音質にも限界があります。それに同じ曲を再生し続けると、同じ歪が印加され続けるので音質が低下します。
なので、いろいろな楽曲を流して癖を平均化したほうが、歪も減って音質も上がるという理屈です。
シャッフル再生が良いというのは、同じ波形パターンを作らないようにするためです。ループ再生では「A+B+C.....Z」と曲を再生した場合、「A+B+C.....Z」が一つの波形パターンとして見なされます。私はDAPに入れらるだけ入れて80-90時間分の楽曲を入れてエージングしていましたが、ループ再生を10回くらい繰り返すと、音質に癖が付いてきました。直近に再生した波形の影響が大きいとはいえ、80時間前であっても、振動板を揺らした履歴が、分子の状態や繊維の状態として物理的に刻まれているということです。
シャッフル再生の場合、楽曲が限られていても再生順が違えば、まったくとは言わないけど違う波形とみなして良いようです。つまり「A+B+C」と再生するのと「B+A+C」は全く同じではないということです。なので楽曲数に限りがあっても、組み合わせで考えればシャッフル再生は同じ波形パターンを作らないのでループ再生より音質が良いのです。
ここでの肝は同じ波形パターンを入れないことで、同じ歪を振動板に印加し続けないというところなので、音源は普通の楽曲でなくても、ラジオやテレビ、動画でも構わないです。
それと最近分かってきたのですが、一般的な音源ではこの平均化にはかなりの時間がかかり、平均化そのものに4000時間以上かかるようです。例えば、アルバム1枚をループ再生で1万時間再生していたとして、そこから大量の音源をシャッフルで再生して「もう1万時間も再生してるんだから音質はすぐ上がるだろう」というと、そうではなく、そこからさらに4000時間以上再生時間が必要ということです。
なので単純な再生時間が音質に影響するというよりも、音源の癖を平均化して均す時間が音質に影響しているという感じです。もちろん単純な再生時間も音質に効いてきますが、自分の感覚では2000〜4000時間までは単純な再生時間も音質に影響しているようですが、それ以上はあまり影響してない感じです。なので、「単純な再生時間、平均化の時間、双方を考えても結局4000時間以上はいるよね」という結論に到達しています。
ちなみに4000時間以降も音質は微妙に上がり続けますが、製品を評価する上では、4000時間は1日3時間使って4年相当なのが、これが8000時間、12000時間となると8年、12年相当となるので現実的でない時間になってしまいますし、それ以上の音質追求するならsound improver使うよって感じになってしまうので、個人的には4000時間で十分ということにしています。真の意味では4000時間が最高音質というわけではないのですがね。4000時間以上はお好みでという感じ。
ここで世間で言われている意見に対して異論を唱えておきたい。
よく言われるのが、
「普段聴く音源で普通に使うのが一番良い。普通に使ってればエージングも勝手に進む。」
これは何を根拠に言ってるのでしょうか?すべての方法を試したうえで、この方法が「一番」良いと言っているのでしょうか?たぶん何も考えずに気軽に言っているだけだと思いますが。
普通に使っていればエージングが進むのはその通りですが、音質が良い状態でエージングが進むかは別問題です。
上で音源の癖の平均化の話をしましたが、振動板には今まで再生した曲の癖が付くということで、自分の好きな曲をループ再生する人は、振動板に変な癖が付きやすく、エージング時間がどんなに長くても良い音を出すことができません。
安直に「普段聴く音源で」とか「自分の好きな曲で」と言ってしまうと、好きな曲をループ再生するタイプの人は音質が悪い状態でエージングが進んでしまうことになります。
「それが普通に使った場合に出せる音質だよ」と言われればその通りですが、良い音出したいからわざわざ意識して「エージングは何時間いるのか?」「音源は何が良いか?」とか調べるわけで、もっと良い音出せるのにそんな方法を取る必要はないでしょう。
普通に使ってエージングするのも自由だと思いますが、ループ再生を多用すると音が悪くなるということは知っておいた方が良いと思います。1曲ループでなくても「いつもこのアルバム聴いて、次はこのアルバム」とルーチンで再生している場合も音質は悪くなります。
■どの程度の音量が良いか?
音量は初期のエージング速度に影響します。ただし短期的に限った話。凄まじいまでの爆音で鳴らすと鳴らした直後は急激に音質が良くなって効果があるように感じるのですが、長期的にみると、普段聴く程度の音量で(数千時間レベルの)長時間エージングした場合と最終的な結果は変わりません。
また爆音だとその分コイル断線のリスクが上がります。それに音源の平均化のことを考えれば、爆音で鳴らしたところで平均化に時間が掛かることには変わりありません。
そのことを考えたら爆音で鳴らすのはリスクがあるのにメリットはないと判断しています。普段聴く程度の音量かそれより少し大きめの音量で鳴らすのが良いでしょう。大きくても聴いていられる程度の音量で鳴らすのが良いと思います。これくらいのボリュームレンジだと断線リスクはほぼ考えなくていいからです。振動による断線リスクよりも、腐食による断線リスクの方が高いでしょう。
■長時間エージングはヘッドホンを壊すリスクがあるか?
エージングについてよく言われるのが「ヘッドホンの寿命が縮むから強制エージングはしない」とか「ヘッドホンを痛めるから休み休み鳴らしましょう」というもの。
個人的な経験ですが、連続再生でもヘッドホンはなかなか壊れないので、休み休み鳴らすとヘッドホンは壊れにくいのかどうかは不明です。そもそも壊れないから。連続再生と休み休み再生、2つの条件で壊れるまで鳴らさない限り、本当にリスクが減るのか分からないよね?しかも母数をたくさん取らないと、たまたま早く壊れたのか、運よく長持ちしただけなのかもわからない。
厳密に言ってしまえば、鳴らしている限り壊れる可能性をゼロにすることはできません。しかし、上にあげた音量条件
「普段聴く程度の音量かそれより少し大きめの音量、大きい音量でも聴いていられる程度の音量で鳴らす」
「4000時間程度鳴らす」
という条件なら、壊れるリスクはほぼないと考えて良いでしょう。1万時間でも2万時間でもほぼないと思います。この条件だと振動による断線リスクよりも、腐食による断線リスクの方が高いでしょう。この条件下で壊れるなら相当運が悪かったのかなという感じです。
というのは、Sound Improverの制作で、もっと厳しい条件で鳴らしているのに壊れないからです。nightowl carbonやSRH1540はメインで使っていますが、nightowl carbonはホワイトノイズ系のノイズを5.6Vrms(アンプの5時付近のボリューム位置、ヘッドホンの最大入力付近)で3年くらい鳴らし続けて、その後、ノイズを低周波数矩形波系に変更すると、さすがにこれだと壊れるので、1.2Vrms(アンプの1-2時付近)くらいで鳴らしていました。これも1年くらい続けました。最近はさらに安全マージンを取って実使用時のボリュームに近い0.3Vrms(アンプの9-10時付近)くらいで鳴らすようになりました。音質面でもこれで全然問題ないので。
SRH1540もnightowl carbonほど鳴らしていませんが、6Vrms程度でホワイトノイズ系のノイズを少なくとも1年半は鳴らしているはず。さらに低周波数矩形波系のノイズに変更して、1年半はメインで使っているのでトータルで2.5万時間以上は鳴らしているはず。
他にもHD600も7Vrmsの最大入力付近で鳴らしてますし、総再生時間は記録によると「(+Sound Improver One,2のテストに推定2400時間以上使用)+通常の音楽をシャッフル再生で2088時間」となっていて、4500時間程度でしょうか。
ER4SRも1.2Vrmsの最大入力付近でSound Improver Oneのテストで鳴らしていました。どれくらい鳴らしたかは記憶にありませんが、HD600以上に使っているのは間違いありません。となると3000-4000時間くらいでしょうか。Sound Improver 4のテストまで含めると5500-6000時間くらいかな。
他にはATH-AD700も結構やばめな波形を耐えられるギリギリであろう音量で入れて1000時間耐久テストしてみたり、結構無茶な使い方していますがこれも壊れていません。
唯一テストで壊したのがDT880E/600で、5Hzのフルスケールに近い波形を(10Vrms,sine波,600Ω)のボリュームで鳴らしたら、3時間くらいは音が鳴っていたのですが、20時間くらいで片側から音が出なくなりました。DT880E/600の実用域の音量って1Vrmsくらいだったと思いますが、実用域の10倍くらいの電圧かけて5Hzのフルスケールに近い波形を入れないと壊れないとも言えます。しかも片方は20時間でも壊れなかった。
またSound Improverのテストに使っていないのに普通に壊れたのが、HD650で実使用域の音量での音楽シャッフル再生5700時間でコイルが断線した。実使用域の音量での音楽シャッフル再生で壊れたのはHD650のみで、K812やnighthawk carbon等、他のヘッドホンは全く壊れないし、ほぼ同型のHD600がHD650の100倍くらいのパワー入れて鳴らしたり過酷な環境だったのに壊れてないところを見ると、長時間再生でなく経年劣化による腐食が原因だろうという結論に至った。HD650は15年物だったので。
何が言いたいのかというと、音量が大きいと壊れるリスクが上がるのは理論上は正しいのであろうが、経験上は、かたや最大入力の過酷な条件下で1.5万時間鳴らし続けても壊れず、かたや実使用域の小音量で鳴らしているのに6000時間程度で壊れた。これでは音量と壊れやすさの相関が全然成り立っていないよねってこと。DT880のように振動板の振幅が限界を超えると壊れてしまうんだろうが、音量や再生時間よりも経年劣化や腐食の方が影響大きいんじゃないかと思う。
確かに鳴らしている限り壊れる可能性はゼロではない。けれど、「聴いていられる程度の音量」はヘッドホンにとっては大した音量でないし、「4000時間」という時間もヘッドホンにとっては大した時間ではない。そして、鳴らしていなくも経年劣化と腐食は避けられないので壊れるリスクは存在する。そう考えると、「長時間再生でヘッドホンが壊れるリスク」は気にするほど大きくないし、気にならない。仮に壊れたら運が悪かったんだなと思うことにしている。それに新品のヘッドホンだったら保証で交換してもらえばいい。この程度の負荷で壊れる製品って初期不良か欠陥品でしょう。
■再生機器によって仕上がり音質の差がでるか?
Burn-in Noisesのテストで、再生機器の違いで音質に差が出ることは分かっていますが、それでも波形の違いの方が音質への影響が大きいです。
Burn-in Noisesの波形では-96dBや-144dB以下の微細な波形の違いでも音質に違いが出るので、アンプによる微細な再生能力の差も効いてくるのかもしれません。-96dBというとアンプのノイズレベルとどっこいレベル、-144dB以下だとそれを遥かに下回るので、理屈で考えれば違いが出るわけないのですが、実際に聴くと違いが出てしまいます。これはいったいどういうことか?としばらく考えていたのですが、現状ではアンプのノイズはランダムなので、何度も繰り返すと平均化されるが、音声信号は決まったタイミングで決まったパターンを描くので、何度も繰り返すことできちんと信号が通ったのと同じ効果があるのでは?と考えています。
これくらい微細な違いでも音質に違いが出るので、再生機器の違いで音質に差が出るのはおかしくないと思います。
ですがアンプによる差はそんなに大きくないと判断しています。もしかしたらNFBをかけまくった超々高特性アンプならもっと違いが出るのかもしれません。でもね、NFBって(可聴域程度の)低周波域ではノイズや歪を補正できても、(可聴域をはるかに超えた)高周波域では補正が効かずに逆にノイズや歪を増幅してしまうからね。カタログスペック上は良くても聴くと音が氏んでしまってたりする。なので、NFBに頼った超々高特性アンプって個人的に買う気がしないのよね。。。
では、音楽を再生してエージングする場合はどうか?
「大量の音源をシャッフルで再生する」という手法では、音源の持つ癖の平均化が要ですので、アンプによる差はほぼ気にしなくて良いという結論です。今、音楽でのエージングに使っているのはConductor V2+, micro iDSD Diablo, DAP(iAudio7)ですが、DAPで再生しても普通のヘッドホンアンプで再生しても、差が認められません。正確には再生時間でも差が出てしまうので、厳密なことは言えないのですが、私が想定した音質を超えるようなことはないということです。平均化によって音質を上げているので、アンプによって多少波形が違っていても問題にならない。実際その通りのことが起きているということです。
結局何が言いたいのかと言うと、
再生機器による仕上がり音質の差は確かにあるのだが、だがしかし、再生する音源の方が遥かに影響がでかい。当たり前だけど。
そこを無視して、「いい再生機器だとエージングで音質が良くなる!」と主張するのは土台無理がある。
音源を限定して比較したとしても、その方法はエージングとして音良くないからおすすめしないし、ランダム再生方式なら平均化によって、音源より違いの小さい再生機器の差はほぼ分からなくなってしまう。なので、再生機器の差は気にしなくていいということ。
以上エージングについてまとめると
・音源
特殊なノイズを使わず普通の音楽でエージングするなら、「できるだけ大量の音源をシャッフル再生する手法」が良い。音楽以外なら「ラジオ」や「テレビ」など同じ波形パターンが繰り返されないものが良い。
特に「自分の気に入った楽曲」をループ再生する人や、「いつもこのアルバム聴いて、次はこのアルバム」とルーチンで再生している人は普通に使っていると音質が悪くなるので、積極的に「自分が普段聴かない楽曲」もいろいろ再生したほうが良い。
・エージング時間
普通の音楽でエージングするなら、最低でも2000時間以上、4000時間以上がベスト。
注意点として、ループ再生を多用した場合、長時間、例え1万時間再生しても大した音にはならないということ。4000時間というのも、トータルでの再生時間でなく、シャッフル再生を開始してから4000時間かかるということ。
・音量
普段聴く程度の音量かそれより少し大きめの音量で鳴らすのが良い。大きくても聴いていられる程度の音量で鳴らすのが良い。
・再生機器
あまり気にしなくていい。
といったところ。
私はヘッドホンでは、「できるだけ大量の音源をシャッフル再生する手法」でエージングしています。音質的には自分の作ったノイズ使ったほうが良いのですが、それでも普通の音楽を使っているのは、これが一つの基準だから。ノイズを使ってしまうと、メーカーが想定した音をはっきり超えてしまうので、それでヘッドホンの評価するのはどうなの?ってなるし、自分の作ったノイズも完璧ではなく日々改善されているので、最新のノイズの方が音が良いのだけど、じゃあ毎回最新のノイズを使って比較してしまうと、基準点がコロコロ変わるから絶対的な評価がしにくくなる。かといって現状、世間一般で認められる「これが基準です」というノイズが存在しない。強いて言うならピンクノイズなんだろうけど、ピンクノイズは長時間再生で癖のってくるし、音質面でも「できるだけ大量の音源をシャッフル再生する手法」に敵わない。
そこいくと、「できるだけ大量の音源をシャッフル再生する手法」なら4000時間というおかしな時間でも、毎日音楽やら動画やら3時間、4年使ったと想定したら非現実的でもないし、メーカーが開発時に想定した音質ではなくても、普通に使っていてその製品が出しうる最大パフォーマンスとは言えるでしょう。
でもヘッドホンではこの方法使えるけど、スピーカーではもう自分の作ったノイズ使います。D310では2000時間くらいまで音楽鳴らしたり動画再生したり頑張ったけど、スピーカーで使ってない時も音を鳴らし続けるのは相当にきつい。現実的でない。
確かにこれならエージングで音質が向上することを無視して「普段聴く音源で普通に使うのが一番良い。普通に使ってればエージングも勝手に進む。」というのも一理あると思う。
「自分のSPが本来の性能を発揮していないんじゃないか?」と思いながら使い続けたり、聴かない時も音を出し続ける苦行よりも、「エージングは最初の数十時間で十分!これで俺のSPは最大パフォーマンスを発揮しているはず!」と信じて普通に使う方が幸せでありましょう。真実は違うのだけどね。
そこいくと最近自分の作ったノイズは低周波ノイズ使っていて、音出るけど部屋のドア閉めたら鳴ってるの分からないレベルだから、かなり静かなんだよね。これ作ってからこれ以外使う気なくなった。
まぁ、ノイズ使っちゃうと製品の評価としてはどうなの?ってところはあるのだけど、聴いていない時も鳴らし続けるのは、そんなこと言ってられないくらいきついので。かといって普通に使って本来のパフォーマンスが出るまで数年待つというのもしたくないし。
- 2024/04/18
sound improver 2.1.zip
sound improverのお試しverみたいなもの。
以前からここで配信しているMUGEN IDC Burn-in Noise for headphonesはかなり初期もので、現状では「このノイズ使うくらいなら、大量の曲をランダム再生するエージング法のほうが音質良いし、かなり半端なノイズだな。」
と思っていました。今からすると大したことなくても、その当時は良いと思っていたものだし、「かなり頑張って作ったものだから消すのも嫌だな」とモヤモヤしたものを抱えていました。
でも一番の問題は大量の曲をランダム再生するエージング法のほうが音質が良い、つまり普通の音源に負けちゃうってこと。「これじゃ高音質を求めたエージング音源としては意味ないよな」ということで、大量の曲をランダム再生するエージング法よりも高音質に仕上がるノイズをUPすることにしました。
sound improver 2.1はsound improver 2の低周波部分のテスト用波形を手直ししたもので、十分使えるレベルにあります。sound improver 3には劣るが、sound improver 2よりは音が良いという感じでしょうか。
そのまま使い続けてもいいし、気に入ったらsound improver 3をe-onkyo music, mora, OTOTOY, music.jp STORE, レコチョクなどで販売していますので買ってみてくださいね。(sound improver 3は5月あたりに配信予定です。)
Apple Musicなどのストリーミングサービスでも配信はしていますが、ストリーミングだと、サンプル周波数を勝手にいじったり、ボリューム調整をしたり、圧縮音源でしか配信できなかったりで、オリジナルのクオリティーとは多少なりとも違ってしまうので、ダウンロードのほうがお勧めです。上記のサイトだとflacやwavのデータで販売されています。
データを弄られて特に一番困るのがボリューム調整で、大体の場合は音量が小さい場合はボリュームを弄らないらしいのですが、万が一勝手にボリューム調整で音量を大きくされた場合、せっかくとった安全マージンがほぼすべてなくなってしまうので。(sound improver 3はヘッドホン再生では12dBの安全マージンを取っています。sound improver 2.1も同じです。)
マージンなしでも短時間再生で壊れることはありませんが、何千時間も再生した場合はわからないので、万が一を考えると安全マージンを取って再生したほうが良いのです。 私の経験ではnightowl carbonだとマージンなしで数千時間鳴らしても壊れませんでしたが、ヘッドホンによってはコイルが脆い場合もあるし、小音量でも時間を掛ければ似たような音質に収斂していくので、リスクを取って大音量で鳴らすよりも小音量で長時間鳴らしたほうが良いというのが今の私の考えです。
もっとも配信サイト側でボリューム調整を入れるのは、波形をサチらせてまで音量を追及する音量競争に終止符を打ったようなので決して悪い側面ばかりではないようです。私としては製作者が意図したものをなにも加工せずに配信してほしいと思うのですが。
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2020/06/09
MUGEN IDC Burn-in Noise for headphones_2020/06/09
初期のバーンインノイズ
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